1年の集大成をプレゼンテーション形式で発表 HITチャレンジ報告会

学生の自主企画プログラム「HITチャレンジ」制度は、学生たちが企画、立案したプロジェクトに対し、大学が助成費として最高50万円の活動資金を支給するもの。2017年度は一般部門3団体、ボランティア部門2団体の、5つのプロジェクトが採択され、1年間活動してきました。3月7日にその成果を発表する「HITチャレンジ結果報告会」を開催。報告内容は審査され、上位3団体が表彰されました。

チームの力を、成果を見せてほしい
報告に先立ち鶴衛学長があいさつ。「HITチャレンジは、何人かの学生たちがチームで進めるプロジェクトです。冬季五輪スピードスケート女子団体パシュートのように、個の力では勝てない相手にも、個の力を集結させたチーム力で金メダルを勝ち取ることができる。仲間とともに取り組んだ成果を見せてもらいたい」と報告に期待を寄せました。

「一人と一人の力が2ではなく3にも4にもなるのが強いチームの特徴」と鶴学長

「一人と一人の力が2ではなく3にも4にもなるのが強いチームの特徴」と鶴学長

ビジネスモデルとしての可能性を模索 HIT-LAB
情報工学科の学生で構成されたHIT-LABは、クラウドに繋がる組み込み機器のシステム開発をテーマに活動。IoTを開発し、ビジネスプランとして提案するD2C(Device to Cloud)コンテストでの優勝を目指しました。「画像認識を利用した自動朗読システム」を開発したAチーム、「周囲の危険感知システム」を開発したBチームの2チームで大会に臨みました。両チームとも決勝大会に出場し、Bチームは準優勝に輝く快挙を成し遂げました。開発プロセスや大会の様子を振り返りながら、チームで開発する難しさや、ビジネスモデルとしての売り出し方など、今後の課題も見つかったと報告してくれました。

審査員から「ぜひ大学ベンチャーに」と評価された周囲の危険感知システム開発

審査員から「ぜひ大学ベンチャーに」と評価された周囲の危険感知システム開発

大会前は、プレゼンのリハーサルで相互チェックを繰り返したというHIT-LABメンバー

大会前は、プレゼンのリハーサルで相互チェックを繰り返したというHIT-LABメンバー

マシンに改良を加え、大会で着実に結果を残す Team HIT-EV
電気自動車製作プロジェクト「Team HIT-EV」は、知能機械工学科、機械システム工学科、電気システム工学科の学生たちで組織する団体。自作の電気自動車で「エコデンレースin苅田」「Ene-1GP MOTEGI」の2つの大会に出場し、上位入賞を狙いました。10月のエコデンレースin苅田は、天候不良のため開催中止。代わりに出場した「エコ電気自動車レースinみやざき」では、予選でコースレコードを樹立。本選でも30分間充電池レースで2位となり、特別賞を受賞しました。部門3位以内を目指したEne-1GP MOTEGIでは、総合7位、大学・高専・専門学校部門では堂々の1位となりました。カウルの製作で離型剤を初めて使い、車輪を20インチから14インチにサイズダウンさせるなど、さまざまな進化を遂げたニューマシン。その改善ポイントを綿密な資料で解説し、審査員を大きくうなずかせていました。

車体、ギア、ホイール、ブレーキなど、パーツごとに車両の改善点を説明

車体、ギア、ホイール、ブレーキなど、パーツごとに車両の改善点を説明

審査員からは「ものづくりの限界に挑戦している。よくここまで頑張った」と高評価

審査員からは「ものづくりの限界に挑戦している。よくここまで頑張った」と高評価

砂漠を舞台に水問題の解決策を練る HIT環境土木研究団
中東のアラブ首長国連邦(UAE)は国土の80%が砂漠で、慢性的な水不足に悩む国。環境土木工学科(旧・都市デザイン工学科)の学生が結成したプロジェクト「HIT環境土木研究団」は、同国の砂漠に環境土木工学科の福原輝幸教授が開発した太陽熱淡水化装置(TSS)を設置して、増水量の変化を調査しました。9月に現地アルアインの砂漠で16個のTSSを設置。最高気温40度の環境下で、設置場所やTSSの仕様による違いを計測しました。結果、TSSのトラフ(樋)の色が黒いものは、透明なものの3倍の増水量を観測。砂漠地表と空中、それぞれの位置による増水量の変化は見られませんでした。今後はそれぞれの変化の有無の理由について研究していく予定です。実験以外では、現地の住民や学生たちと積極的に交流。イスラム文化の本質を肌で感じると同時に、水問題やエネルギー問題への関心の強さを実感したそうです。

砂漠での実験の様子を写真で解説。厳しい環境の中、しっかりとデータを収集してきました

砂漠での実験の様子を写真で解説。厳しい環境の中、しっかりとデータを収集してきました

現地では「UAEで日本の大学生がこういった活動するのは珍しい。もっとやってもらいたい」と温かく迎えられそうです

現地では「UAEで日本の大学生がこういった活動するのは珍しい。もっとやってもらいたい」と温かく迎えられそうです

子どもたちの関心高めた海岸美化 GREEN project
海岸のごみ拾いを通じて環境保全を訴える活動を行ったのは、地球環境学科の学生で組織するGREEN projectです。大野浦、宮島、かるが浜、水尻の4か所で漂流物やごみを調査。漂流物やごみの特徴を、小学生に向けた分かりやすい内容で冊子にまとめました。海岸のごみを材料に、小物作りをするワークショップも企画。10月の廿日市環境フェスタ出展、11月の本学開催、2回のワークショップに計117名の子どもたちが参加してくれました。全ての参加者からアンケートを回収。小さな子どもへの対応方法や、企画趣旨をどう理解してもらうかなどの課題を見つけました。活動の結果として、地域住民の関心が大きくなってきたと感じたプロジェクトメンバー。次年度の活動に向けて、企画を練っています。

本学でのワークショップ開催にあたっては、チラシを作成し、近隣の各小学校に配布しました

本学でのワークショップ開催にあたっては、チラシを作成し、近隣の各小学校に配布しました

GREEN projectは総勢22名の大所帯。グループをうまく機能させるため、スケジュール管理に気を配りました

GREEN projectは総勢22名の大所帯。グループをうまく機能させるため、スケジュール管理に気を配りました

調査で見えてきたスタジアム周辺の課題 建築屋たち
災害時におけるマツダスタジアム周辺の避難経路について調査したのは、建築工学科の学生らで組織する「建築屋たち」。同スタジアムで試合中に災害が発生したと仮定して避難ルートを作成し、スタジアム内に模型を展示してもらい、来場者の防災意識を高めるのが狙いです。川沿いや住宅密集地などさまざまな地理的条件が混在するスタジアム周辺。入念な現地調査を行うと同時に、広島市危機管理室でも情報収集しました。結果、スタジアム周辺地域の具体的な避難経路を定めていないことが判明。市の方針では災害発生時はスタジアムでしばらく待機することになっていることや、スタジアムが防災拠点としても位置付けられていることなども分かりました。マツダスタジアムではあらゆる団体の掲示物を認めていないことから展示は断念。しかし、公共施設での展示の方向については市との協議を進めています。

計画通りに作業するために、個々の自己管理能力が問われたと回顧

計画通りに作業するために、個々の自己管理能力が問われたと回顧

「津波の後の避難経路に、車や倒木などの障害物を想定していませんでした」と今後の課題を挙げました

「津波の後の避難経路に、車や倒木などの障害物を想定していませんでした」と今後の課題を挙げました

報告書も「コミュニケーション」 川原耕治学務部長の総評
「各団体の報告書を見ると、資料が十分なものもあれば、もう少し具体的なところまで説明がほしいものや、全体像が分かりにくいものもありました。いずれのプロジェクトの報告にもあったのが、チーム内のコミュニケーションが大切だということ。コミュニケーションとは、単に人前でしゃべるだけでなく、『何を伝えるか』ということが重要です。そういった意味においては報告書も一つのコミュニケーション。今後の創意工夫に期待しています」と学生たちにエールを送りました。

個々のプロジェクトの評価や改善点のアドバイスを行う川原学務部長

個々のプロジェクトの評価や改善点のアドバイスを行う川原学務部長

報告会の審査結果は、1位「Team HIT-EV」、2位「HIT-LAB」、3位「建築屋たち」でした。鶴学長は表彰式の後、ホール通路の展示スペースを訪ね、1位の「Team HIT-EV」が製作した電気自動車に見入っていました。

鶴学長にマシンを紹介するTeam HIT-EVの大西宏樹さん(知能機械工学科3年)

鶴学長にマシンを紹介するTeam HIT-EVの大西宏樹さん(知能機械工学科3年)

車両製作同様、報告書も入念に
Team HIT-EV代表、立花侑矢さん(機械システム工学科2年)
「報告書には写真を多用して、専門的で分かりにくい部分が分かりやすくなるよう工夫しました。理論上も『どうしてこうなのか』という部分を報告書に記述。ボリュームはこれまでの約5倍の50ページになりました。データの編集だけでも1か月、発表練習や報告書の作成も含めると2か月を要しました。質問対応も想定してスライドを作っていましたので、質疑応答にも慌てることがありませんでした」

「他団体の発表時に積極的に質問をしたかったのですが、今日は質問が少なかったので自己評価は95点」と振り返る立花さん

「他団体の発表時に積極的に質問をしたかったのですが、今日は質問が少なかったので自己評価は95点」と振り返る立花さん

2、3年生のメンバーたちが感謝を忘れないのが4年生メンバーの増広雅斗さん(電気システム工学科)と日焼誠さん(知能機械工学科)。大会では運搬や車検補助、写真撮影などの裏方の仕事に徹底してくれたそう。2人とも「彼らに続く新たなメンバーが入ってほしい」と願っています

2、3年生のメンバーが感謝を忘れないのが4年生メンバーの増広雅斗さん(電気システム工学科)と日焼誠さん(知能機械工学科)。大会では運搬や車検補助、写真撮影などの裏方の仕事に徹底してくれたそう。2人とも「彼らに続く新たなメンバーが入ってほしい」と願っています

さまざまな活動を通して、チーム運営や対外交渉の難しさ、成功した時の喜びなどを分かち合ったHITチャレンジ参加団体の面々。今後の学業や就職活動での自信になることはもちろん、人生においても貴重な体験となることでしょう。2018年度のエントリーは4月1日から始まっています。他の団体からも積極的なチャレンジを待っています。


※学年・所属等は2018年3月取材時点

学生自主企画プログラム「HITチャレンジ」制度